1. ショパン・別れの曲(6票/80人)

泣ける、切ない曲というと短調の曲を思い浮かべがちですが、このショパンの「別れの曲」はほとんどが長調。

曲名を知らずに聴いていると、とてもきれいな曲で、さわやかな春の風すら感じるかのようです。

あまり切ないフレーズは出てきません。であるにも関わらず、タイトルが「別れ」とついており、そのタイトルからか、日本のドラマや映画、アニメなどではしばしば別れのシーンに取り上げられています。

 

しかしこの曲にはショパンの故郷を思う深い心情が込められているのです。

ショパンの故郷ポーランドは独立運動とソ連からの侵略・圧力にあえぎ、激しい戦闘や内乱に苦しめられていました。

その故郷を思って慟哭し作られたといわれる「革命」などは有名です。

 

この曲が出版された1832年は、実はポーランドがソ連に武力で併合されてしまった年でもあります。

当時のショパンはパリにいて、自分では何もできない、どうしようもなかったのです。

 

動乱の時代、懐かしくも暖かな故郷を思い出して書きあげた曲という事を思えば、彼が付けたのではないにしろ、この練習曲が単なる練習曲作品10第3番という番号にとどまらず、やはり「別れの曲」という名称で呼ばれる理由はあるのでしょう。

 

おだやかなように聴こえる曲の裏に隠された切ない気持ちが表現されているこの曲に、ショパンは「これほど美しい旋律はもう書けない」という一文を残しています。

ニュウニュウ『ショパン:エチュード第3番作品10-3(別れの曲)』

2. ドビュッシー・月の光(3票/80人)

ドビュッシーの「月の光」は学校の音楽の授業でも定番ですし、テレビでも時々流れているので、誰でも一度は聞いたことがある曲でしょう。

 

この曲のピアノで癒やしを求める人、世界中にどれだけおられるでしょうか・・・。

とても有名過ぎる曲ですが、敢えておすすめします。

 

私はポップやロックなどが好きで、クラシックやピアノソロは殆ど聞かないのですが、この曲だけは別格です。

このピアノの旋律の綺麗さには、うっとりします。

音が玉のように感じられますし、昼間でも本当に月が眼前に浮かんでくるようです。

 

もう100年以上前に作曲されたピアノ曲ですが、今でも全くといってもいいほど、色褪せていません。

 

名曲は時代を超えますね。

この曲は、特に仕事や人間関係に疲れているとき、悩んでいるときに聞くのがいいです。

 

できれば、一人や親しい人と二人だけで実際に静かな森に行ったり、深夜に月を本当に眺めながら、日々のいろんなことを綺麗な気持ちで夢想しながら聞く・・・。

こんな演出をしてこの曲を聞けたら最高です。

 

月の光」はもともと歌曲で、ドビュッシー以外にもフォーレという作曲家にも「月の光」があります。

若かりし青年時代のドビュッシーが人妻に熱烈な恋をして、その女性に捧げた曲の一つなのだそうです。

 

ドビュッシーは性格的に難があって、あまり友人も少なかったそうですが、純粋だったのでしょうね。

この曲を作った当時の青年ドビュッシー。内に秘めた情熱が伝わってきます。

Debussy: Clair de lune

3. ベートーヴェン・月光(3票/80人)

ベートーヴェンといえばだれでもご存知の作曲家ですね。

彼が1801年に作曲したピアノソナタ第14番嬰ハ短調『幻想曲風に』(Klaviersonate Nr. 14 cis-moll “Quasi una Fantasia”)作品27の2は、その由来もとてもロマンチックです。

 

彼が弟子であり恋人でもあったジュリエッタにささげた曲で、ベートーヴェンが30歳、彼女が17歳という年の差13歳のロマンスによって生まれた曲なのです。

年の差もさることながら、ジュリエッタはイタリアの伯爵令嬢だったため、身分差によって彼はとても苦しみました。

 

激しく強い恋情と、それを阻む様々な問題、そして思いのままにならない現状にかすかににじむ諦念など、この曲から様々な心の叫びが伝わってくるようです。

そんな彼の苦しいこころのうちをあらわした切ないメロディーは、200年以上たった今でも多くの人の心を打ち、名曲として愛されているのです。

 

また、有名な「月光」というタイトルもベートーヴェンがつけたものではありません。

もともとは「幻想曲風」でしたが、彼が亡くなった後、ルートヴィヒ・レルシュタープが「ルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と第1楽章についてコメントしたことから「月光」というタイトルが一般化したというエピソードもあります。

 

聴くほどに曲の持つ世界観、深みに聴き惚れてしまう最高の名曲です。

ベートーヴェン「月光」第1楽章 Beethoven “Moonlight Sonata”